2012年9月6日木曜日

ディオニスの宮にて/エリアーデ

エリアーデの小説は、登場人物が多い。だいたい、短編~中編小説で、10~15人程度出てくる。
いい加減に読んでいると、誰が誰だか分からなくなってしまう。

前に、池澤夏樹がそういう登場人物が多い小説を読むコツを教えていた文章を実践している。

例として挙げていたのは「百年の孤独」だったと思うが、よく探偵小説の単行本の表紙裏に、登場人物の名前と簡単な紹介が書かれているが、そういうものを自分でメモを書いて整理するのだ。
綺麗に仕上げる必要はなく、ラフな感じでよいと思うが。

さらに、登場人物間の人間関係も書いておくと混乱しなくてすむ。

私は相当面倒くさがりやなので、普通、こういう作業は絶対やらないのだが、やはり読んで理解したいという気持ちが強いと、やるんですね。

今回の「ディオニスの宮にて」だと、こんな風に書いた。
(もちろん、物語上は書いたような単純な属性ではない)

 レアナ(酒場の歌手)→好き→アドリアン(詩人、記憶欠落)

この物語は、かなり謎めいた書き方になっているので、解釈の仕方が色々あると思うが、私はベースが上記のメモのような恋愛小説だと捉えている。

アドリアンは、午後四時三十分に、レアナとホテルで待ち合わせて会う約束をしていた。しかし、アドリアンの乗ったタクシーは事故を起こし、二人は出会えなかった。アドリアンは死んではいないようなのだが、午後四時三十分に誰かと会う約束をしたこと以外は、記憶を喪失してしまった。
レアナは、「私の罪のせいで、酒場を歌い歩くようになっ」てしまい、二人は出会えない。

最後に、アドリアンは、レアナと出会い、午後四時三十分に、レアナと会う約束をしていたことを思い出すのだが、二人が会っている空間はすでに普通の空間ではないようにも感じた(レアナが死んだのか)。

*レアナは、「ムントゥリャサ通りで」にも出てくるようだ。迷宮の奥の迷宮。また、読み返さないと。


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