2012年9月29日土曜日

得をしたのは…

国連総会で、中国の外相が、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を日本が盗んだとして演説を行い、それに対して、日本が答弁権を行使して反論している映像をテレビで見た。

中国側の演説はかなり品がないが、日本の反論もそれに引きずられている感がある。

事の発端は、日本国による尖閣諸島の国有化であるが、野田首相の意図としては、中国に対して、領土問題を突きつけるつもりはなく、むしろ、石原都知事が独自に進めていた東京都による購入により起こりうる中国との摩擦を極力回避したいという思いがあったからに違いない。

しかし、そういう日本国の考えは全く理解されることはなく、むしろ、胡錦濤国家主席との話し合いの翌日に国有化を実行し、「メンツをつぶされた」ことが原因との中国要人のコメントもある。

今更、言ってもしようがないが、日本としては、尖閣諸島の国有化の意図を内々に中国側に丁寧に説明し、相手の反応を見て、その実施の可否、実施時期を慎重に決めるべきだった。
そういうデリケートな問題だったという感覚が、日本の外交官たちに果たしてあったのだろうか?

確かに領土問題は国益に絡む問題ではあるが、この尖閣の国有化で、日本経済がどれだけの損失を出しているかを考えると、国益に適った行動だったのかという疑問も出てきてしまう。

現状では中国との仲直り・早期解決は困難であろう。

そして、このままでいくと、日本企業は中国の巨大市場から得られる利益を大きく失い、レアアースの輸出抑制などの対抗措置も追加実施され、日本経済はマイナスとなるだろう。また、日本企業が中国への投資をリスク大と判断し、撤退する可能性もある。そうなると、中国経済にとってもマイナスになることは間違いない。

両国が損を拡大し続ける中、唯一、得をしたのは、尖閣諸島を国に売って二十億もの大金を手に入れた地権者だけかもしれない。

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