2022年12月25日日曜日

胡蝶、カリフォルニアに舞う/多和田葉子

久々に多和田葉子の小説を読んだ。

Iというアメリカに留学した学生が十年ぶりに日本に戻ってきて、就職試験を受けるという話なのだが、アメリカの大学時代に女の子のナンパの仕方から学んだいい加減な会話で、高校の同級生だった優子とのかみ合わないコミュニケーションの様子や、日本の電車の異質感(女性専用車両、中央線の駅名)や家電メーカー就職試験の様子が、明るいMonotoneの悪夢のように続いて、読んでいて楽しかった。
胡蝶の夢のような終わり方も面白い。

次の小説「文通」もある種の悪夢だ。
作家の陽太が同級会に行くときに頭痛がして、彼が付き合っている舟子が持っていた謎の置き薬を飲んで、ラリッてしまった状態で同級会で味わう数々の悪夢。
名前が思い出せない同級生たち、親戚の葬式でふとしたことから関係を持ってしまった従兄弟の浮子との追い詰められていくような文通の数々。
やがて、舟子や浮子との文通の存在も現実のものなのか、分からなくなってしまう。

どちらの作品も、妙に明るい雰囲気のカフカが書いた悪夢のような物語だ。