2011年9月5日月曜日

司馬遼太郎の「木曜島の夜会」

歴史上の有名人物を主人公にした歴史小説を多く書いた司馬遼太郎ですが、
「木曜島の夜会」は、ちょっと毛色が異なるが、「日本人」を考えるうえで、面白い本です。

明治初年から太平洋戦争まで、オーストラリア北端の木曜島(Thursday Island)海域で、
白蝶貝(真珠貝)の採取に従事した多くの日本人ダイバーを描いた作品です。

死亡率10%という危険な仕事であったが、ほとんどの日本人が、ダイバーの仕事に、
一生をささげ、安全が担保されている親方にはなろうとしなかったといいます。

魏志倭人伝にも、「面を鯨し、…倭の水人、好く沈没して魚蛤を捕ふる…」とある日本人の
性質は、大昔から続いていて、たとえば、木曜島のダイバーには中国人は一人もいなかった
そうです。

(面を鯨しとは、顔や体にいれずみをすることをいい、大魚をおどかすためといわれています)

最初は金儲けのつもりで潜っていたのが、だんだんと面白くなり、人より1トンでも多く
の貝をとることに熱中してしまう傾向が、日本人にだけ、あったといいます。

このような日本人の性質を、山崎正和が、司馬遼太郎との対談集「日本人の内と外」で、
こう述べています。

「日本人にとっては、ある一つの技術を身につけることが特別な意味をもっているんですね。
なにか具体的な仕事ができることが大好きで、それを尊敬する風潮が鎌倉ごろからあって、
やがて『その道一筋』という倫理さえ生まれてきてますね。」

この傾向、自分にもあると感じませんか?。

口では偉そうなことを言っても、具体的な実務ができない人は、ダメと思ってしまうことは
ありませんか?

(人の悪口でも、こういう話はよく聞きます。そして、うん、そうそう!と私もよく思います)

技術至上主義、職人気質とでもいうのでしょうか。
でも、これって日本人の美質ではないか、とも思っています。

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