2011年11月25日金曜日

SOLARIS / Stanislaw Lem

スタニスワフ・レムの「SOLARIS」は、SFといっても、だいぶ趣が違う作品だ。

赤と青の二つの太陽をまわりを回っている惑星ソラリス。

地球よりも直径が二割ほど大きいが、陸地はヨーロッパ大陸よりも面積が小さく、広大な海を持つ。酸素はなく、生命はないと思われていたが、その広大な海が、知性を持っているのではないかと思われる様々な現象が起こる。

その惑星ソラリスを観測するため、ソラリスの海の海面500mの中空にある観測ステーション。
ここが小説の舞台だ。

主人公は、心理学を専門とする実直な性格の科学者ケルビン。彼はその宇宙ステーションにすでに滞在している他の科学者二人と、人類以外の知性 ソラリスの海 と接触することになる。

しかも、その接触は、主人公が以前付き合っていて自殺してしまった恋人との再会(といっていいのか)という思いがけない形で行われる。

ソラリスの海が、ステーションにいる人間が寝ている間に、その意識に深く入り込み、その人が心の奥底で思っている記憶を実物どおりに複製してしまうのだ。

ソラリスの海が、何故そんなことをするのか、人類に対して何を伝えたいのかは一切わからないまま。

主人公は、科学者としての理性を持ちながらも、再び現れた恋人に深く思い悩まされることになるのだが、その過程は、恋愛小説のようでもあり、人間の尊厳という哲学的・道徳的な側面まで触れられている。

50年前の1961年に発表された作品だがその魅力は色褪せていない。

以下、余談です。

☆アンドレイ・タルコフスキー監督の映画「惑星ソラリス」は、この原作をベースに、タルコフスキー独特の美しい映像で表現していて、また、別個の作品に仕上がっているような気がします。

★2002年にもジェームズ・キャメロン製作の映画「ソラリス」がありますが、こっちは、ちょっと恋愛的な部分にフォーカスを当て過ぎていて、原作の持つ深みが感じられなかった作品でした。


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