2013年3月6日水曜日

真幻魔大戦3~4/平井和正

真幻魔大戦3「スリーピング・ビューティー」は、超多国籍企業クェーサーの極秘資料をムーンライトから手渡されてから、東丈に起きる様々な異変を描く。

突然、襲い掛かってきたムーンライトのボディーガード、高熱を出し超能力者となった東三千子、東丈を性的に誘惑する久保陽子(また、こんな扱い)。

しかし、この本の中で、一番面白かったのは、「無印」で五歳だった天才幼児ソニー・リンクスが少年になった姿が見られたことだ。

彼は年をとって、人間的には明らかに成長しているのだが、人格形成とは反比例に、テレポーテーションの力を弱めている。

ソニーは、クェーサーに反旗を翻したライアン機長の恋人スーザンをクェーサーの特殊工作員から救い出すのだが、自らはクェーサーのサイキック部隊に襲われ命を落とす(落としたと思われる)。

このソニーの最後の姿が最初に読んだとき謎だった。

エレベータのゲージに頭と右手を突っ込んで肉体と鋼板が融合している姿は、何となく、スターウォーズⅤ(帝国の逆襲)で、ハン・ソロがかけられたカーボン・フリーズのようなことになったのかなと思っていたのだが、これは、やはり、ソニーがテレポーテーションしようとして、力尽きてしまった姿なのだろう。

4巻の「メサイア・メーカー」は、東丈が書いた小説を原作として、百億円もの制作費をかけて救世主映画を作りたいという石室というプロデューサー(なんとなく、角川春樹っぽい)が現れる。

そして、そのプロデューサーの秘書が杉村優里(実は「無印」の杉村由紀の意識を持つ)だったが、彼女の強い希望で、東丈の秘書になる。

東丈には、相変わらずトラブル(攻撃?)が襲い掛かる。
仕事仲間の奥さんがヤクザに寝取られ、その後始末を引き受け、ヤクザに襲われる。
姉の三千子は突然姿を消し、丈の弟の卓がニューヨークで行方不明になり、その妻である洋子が、もともと気があった義兄の丈に性的誘惑をかける。

思えば、この巻にいたるまで、幻魔は姿を見せず、いずれも人間の悪しき行動にその影が見えるだけだ。まるで、ジョーカーがないババ抜きみたいに。

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