2012年7月1日日曜日

海街diary 蝉時雨のやむ頃・真昼の月/吉田秋生


吉田秋生は、有名な漫画家で、代表作には「BANANA FISH」、「櫻の園」等がある。

とてもリラックスしたい気持ちにしてくれる適当な本を探していたら、「蝉時雨のやむ頃」「真昼の月」を見つけた。

父親にも、母親にも捨てられた三人姉妹が、父親の訃報をきっかけに、腹違いの妹と出会い、一緒に鎌倉の街で暮らすという何気ない物語なのだが、とても面白かった。

看護師をしているしっかりものの姉 幸(さち)、地元の信用金庫に勤めている酒豪の次女 佳乃、スポーツ用品店に勤めているアフロ頭の三女 千佳は、性格は、全然違うのだが、サッカーが得意な中学生 腹違いの妹すずは、幸に似ている。

物語は、まんべんなく三姉妹の生活を描いていくが、主役的な立場にあるのは、幸とすずで、この見た目も性格も似ている二人を同時並行的に描くことで、幸の若いころがすず、すずの未来が幸、のような印象を受け、物語の深みが増していくのを感じる。

吉田秋生は、「河よりも長くゆるやかに」や「櫻の園」とかでも、高校生の生活をリアルに描いていたが、海街diaryでは、日常生活をメインに描いている部分、ページをめくっていると、そうそうと思う部分や、思わず、吹き出しまう部分があって、さらに細かな描写が増しているなと感じた。

でも、それをうるさく感じさせないところが、肝だと思う。

たとえば、それは、好きな女の子の髪の毛についた桜の花びらが風に流れるのを、こっそり捕まえたりする男の子や、思いもよらないことが日常生活に顔を出した際に、ふだん、空の上にあるのに、まるで気づかない真昼の月のようだと感じる主人公たちの感性にかかっている。

私たちの日常もそういう部分が大事ですね。

ただ、ぼんやりと無感動に生きているなんて、もったいない。
繊細な感性が大事ですね。

でも、また、鎌倉に行きたくなってしまったー。

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