2012年7月16日月曜日

多言語を使いこなす人とは


ミルチャ・エリアーデは、8つの言語(ルーマニア語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、英語、ヘブライ語、ペルシア語、サンスクリット語)を使いこなすことができた。

何故、そんなに多言語を使うことができたかというと、一つには、彼が生まれたルーマニアという国が、ローマ人(ルーマニアとは「ローマ人の国」という意味が由来らしい)、ロシア人、ドイツ人、ユダヤ人などが集まった多民族国家であったことが影響している。
また、この辺りは、ヨーロッパの火薬庫といわれる程、民族同士の争いが多く、小国であるルーマニアは、フランスやドイツを意識せざるを得ないといった事情もあった。

二つ目は、エリアーデが、ジェームズ・フレイザー(社会人類学者。金枝篇で有名)の書物を読むために英語を、タントラ文書(インドの経典)を読むためにサンスクリット語を、ジョヴァンニ・パピーニ(イタリアの作家・評論家)を読むためにイタリア語をと、読みたいものを読むための道具として、言語をマスターしていったという事情だ。

これだけの言語を学んだのだから、本人さえその気になれば、言語学への道も進むこともできたが、エリアーデにとっては、言語、あくまで伝達と表現の手段以外の何者でもなかったようだ。

「迷宮の試煉」(エリアーデのインタビュー本)に、エリアーデのサンスクリット語の学習法が載っていたので、参考にあげてみ
なお、エリアーデのコメントには、話すことと読むことを比較すると、とりわけ、読むことへの関心が深かったと述べているので、その辺を念頭に入れてください。
(一般的な英会話学習とは、そもそも目的が違います

1.文法書一冊、辞書一冊、テキスト一冊を、毎日十二時間(ぶっ続けに)勉強する。
これを数ヶ月間続ける。その間、新聞も推理小説も一切読まない。
全面的にサンスクリット語に集中する。

2.時々、先生にチェックしてもらう(質問に対する回答、文章の翻訳)

3.話し言葉の微妙さ、柔軟性を取り逃す可能性はあるが、初めに土台をしっかりさせること、文法の構造と諸概念、基礎的語彙を獲得すること(が重要)

と述べている。

最初の1.は、普通の人では、まず無理なやり方かもしれないが、言語を学ぶときは、短い期間に集中してやる、というのは、よく聞く話だと思う。
また、文法と単語、語彙をひたすら覚えるのは、短期で読めるための成果を出そうとするときは、意外と一番の近道かもしれない。

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