2015年3月7日土曜日

BSフジ プライムニュース 曽野綾子氏×南ア大使

今日たまたま見ていた BSフジのプライムニュースで、作家の曽野綾子が、駐日南アフリカ大使を目の前にして、自身が産経新聞のコラムに、人種隔離政策(アパルトヘイト)を称賛するかのような記事を書いたことについて釈明していた。

その稚拙な説明は、聞いていて、首をかしげるような内容だった。


A. 自分が南アフリカに行ったときには、すでに アパルトヘイトは廃止されていた。記事に書いたマンションの話も、そのような背景のない話だ。

B. 自分がこの記事で言いたかったのは、人の個性を尊重するためには、区別は必要だということだ。差別ではない。

C. 自分は政治家ではなく、作家であるので、政治的な意図はない。

D. 自分の書いた記事が、まさか、ネルソン・マンデラ氏が釈放されてから25周年目となる日に掲載されるとは思わなかった。また、自分の書いた記事を、そのように解釈をする人がいるとは思わなかった。

最初のAの部分の発言について、まず驚いたのは、記事に書いたマンションの話が、誰から聞いたかもはっきりしないような出所不明の話だったということだ。そういう話を、自分の重要な主張(区別は必要)の論拠として書くという考えが信じられない。

次のBの部分が最大の問題だが、彼女が言っている「区別」と「人種差別」の違いが、はっきりしないということだ。
 駐日南アフリカ大使の方も、文脈において南アフリカ共和国を取り上げ、人種別に分かれて住むべきだという「区別」を語ることは、人種隔離政策(アパルトヘイト)そのものだという趣旨のことを語っていたが、そういうもっともな他者の視点に関し、曽野綾子は、ひどく鈍感だ。

C.については、作家以前に、とても社会人の言葉とは思えない。作家だったら、アパルトヘイトを想起させる記事を書いても、非難されるべきではないなどという理屈は通らない。

D.に至っては、日にちの問題でないことは明らかであり、作家であるのに、他者が自分の発言をどう受け止めるかについて想像力が欠如しているというしかない。

 おまけに、アパルトヘイトについての予習が足りなかったらしく、発言の途中、何度もペーパーに目を通している姿が映っていた。

 BSフジだから、こんな記事を載せてしまった産経新聞を擁護するのではないかと、うすうす予想はしていたが、案の定、曽野綾子の稚拙な発言を完全に理解したというような話しぶりで、

 反町理(そりまち おさむ)キャスター(フジテレビ報道局政治部編集委員)が、

 曽野綾子さんには悪意はないのだから、彼女に対して、NPO法人などから多数の抗議を行うのはおかしいのではないかと、駐日南アフリカ共和国大使に対し、疑問を投げかけたのにも驚いた。

大使のモハウ・ペコさんは、終始冷静で、感情を高まらせることなく(むしろ、曽野綾子を気遣っていた)、それは言論の自由として尊重されなければならない、と諭すように回答していたが、この番組を見た外国の人が、日本人とはなんて無神経で無教養な国民なのだろうと誤解されるのではないかと心配になった。

こういう釈明番組をやるのなら、曽野綾子を含め、もう少し周到に準備をしてから行うべきだろう。
記事を掲載した産経新聞の見識の無さに、さらに恥の上塗りをしてしまったような番組だった。

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