2013年7月16日火曜日

魚が出てきた日/マイケル・カコヤニス

「その男ゾルバ」を撮ったマイケル・カコヤニスのブラック・ユーモアな映画。

1972年、ギリシア エーゲ海にある、ごつごつした岩に覆われた観光地とは無縁のカロス島付近で、核兵器を搭載していた爆撃機が墜落してしまう。

核兵器3つと、謎の箱(放射性物質が格納された頑丈な箱)1つを島にパラシュートで下ろし、墜落した飛行機から島に泳いで辿り着いたパイロット二人は、何故かブリーフ1枚の格好で、島をさまよい歩く(映画後半近くまで、ずっとパンツ一丁で岩場をさまよう)。

一方、英語を母国語とする軍(米軍?)が組織した探索チームも、核兵器と箱の回収のために島に向かう。この探索チーム、島民に正体を知られないよう、カラフルなシャツを着た観光ホテルの立地調査団に扮し、核兵器の落下場所を探査し始める。

そして、極秘に調査するため、ごつごつした岩しかない土地を地元のお婆さんから買収する。
(このあたりの、いかにも田舎のギリシアの老人の表情がいい)
また、街から買収地までの道の整備に島民を駆り出す。

大掛かりな土地の買収にすっかり舞い上がった島の長のコメントは、新聞に取り上げられ、隠れた観光地として脚光を浴び、多くの観光客が押し寄せることになってしまう。
おまけに、道の整備工事中に、偶然、古代ギリシアの遺跡まで発掘してしまい、考古学者(パワフルな美人のお姉さん)まで島に来ることになってしまう。

一方、調査団は、核兵器3つを回収するが、肝心の箱を見つけられないでいた。実は、ヤギ飼いの夫婦がお金が入っていると思い込み、こっそり家に運びこみ、あの手この手(斧をふりおろす、歯医者の研磨機で削る)で、箱を開けようとするが一向に開かない。

しかし、美人の考古学者が持参してきた金属を溶かす特殊な液体の存在を、ヤギ飼いの夫が知り、それを盗み、ついには箱に穴をあけてしまう。そして…

最初笑って見ていた映画が、いつの間にか笑えなくなる。
最後のシーンは、ちょっと怖い結末だ。
でも、傑作。

1967年の作品。映画に出てくる若者たちのサイケな服装とダンスは古びたが、
放射能の威力は衰えない。

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