2017年11月19日日曜日

明石・澪標/源氏物語 上 角田光代 訳/日本文学全集 4

明石の編は、須磨に都落ちした光君が、ひとり寝のさみしさから、明石の浦の前の播磨守の入道の娘 明石の君と関係を持つことになるのだが、彼女が懐妊したところで、朱雀帝から命が下り、 明石の君を置いて京に戻るという物語だ。

自分が都落ちしたのは、過去に犯した様々な罪深い行為であるということも、二条院の紫の女君と手紙をやりとりし、彼女もひとり寝のさみしさを我慢していることを知りながらも、強引に明石の君と関係を持ってしまうのは、やはり、女性なしではいられない光君の性癖のようなものなのだろう。

そういう自分を否定せず、京に戻って、自分を思い続けてくれた紫の女君に、明石の君との関係を隠さず話してしまうところも、無神経といっていいのか、ダイヤモンドのような硬質な精神の持ち主なのか、判断に迷う。

澪標の編は、体調を崩していた朱雀帝が退位し、東宮(公には桐壺帝と藤壺の宮の間の息子だが、実は、光君と藤壺の宮の息子)が冷泉帝として即位する。光君は大納言から内大臣になり、亡き妻 葵の上の父の左大臣とともに、権力を掌握する。

ちなみに、この時点で、光君の子どもは、藤壺の宮に産ませた東宮(光君に生き写し)、葵の上との間に生まれた夕霧(光君に似て美男)だが、明石の君が女の子を産み、三人となる。占いでは一人は帝(的中)、一人は后、一人は太政大臣になるという。

その占いが頭にあったせいなのか、光君は明石の君が産んだ女の子を気にかけ、母娘とも京に呼び寄せようとする。

一方で、夕顔、葵の上を生霊として呪い殺した六条御息所は、御代が替わり、娘の斎宮とともに伊勢から京に戻ってきたが、重い病に臥せっていた。

光君は、六条御息所に会いにゆき、彼女が自分が死んだあとの娘の行く末を案じているのを見て、自分が何なりとお世話するつもりだというのだが、これに対して、六条御息所は、自分の娘をどうか色恋沙汰に巻き込まないでくれ、という親としてはもっともなのだが、強烈な一言を光君にぶつける。

光君のお相手をする女性はみな総じて大人しい物言いだが、この六条御息所には、自分の意思を突き通そうとする強さを感じる(想像だが、紫式部とはこのような人だったのではないだろうか)。

六条御息所は数日後に亡くなり、光君は、六条御息所の意向を汲み、藤壺の宮と相談の上、斎宮だった娘を、冷泉帝のお世話役(妃のひとり)として入内させるべく、二条院に引き取ることとする。

こういった人事処理も、また、六条御息所の供養の一つと考えると、男女の関係というものは、一度結ばれてしまうと簡単には切れないものだということを、つくづく感じる。

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