2014年5月12日月曜日

NHKスペシャル "認知症800万人"時代 行方不明者1万人 ~知られざる徘徊の実態~

認知症で徘徊(散歩とは違い、目的もなく、あてもなく歩き回り、時に迷子になるような行為)し、行方不明になってしまう人々は、NHKが各都道府県の警察本部に取材した結果、2012年の1年間で、のべ1万人弱にも上り、うち351人が死亡、208人が2012年末時点でも行方不明のままになっている、という実態が明らかになったという。

番組では、3年前に行方不明になった八十歳代の母親を探す家族や、行方不明で保護され、指輪や着衣に身元が分かる情報があったにもかかわらず、7年経った今も身元不明で家族に引き取られない七十歳近い女性が紹介されていた。

印象に残ったのは、釧路市の取り組み。

家族から捜索願いが警察署に届くと、すぐさま、地元FMに連絡が行き、SOS行方不明老人というコーナーで、氏名・服装・最後に目撃された日時などがアナウンスされる。
さらに、近隣市町村、タクシー会社、コンビニ、ガソリンスタンドなど多くの施設にも行方不明者の情報が情共有される仕組みが出来ているらしい。

http://www.kushiro.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hgc/0000top/3000topix/kodomo/002/sos.htm

ポイントは、個人情報保護条例らしい。
個人情報は、原則、家族の同意がないと第三者には提供できない。
しかし、中には、身内の行方不明情報を周囲に知られることを躊躇する家族もいる。
その躊躇の間に命を落としてしまうケースもある。

釧路市では、徘徊による行方不明を 命にかかわる場合は同意無しで個人情報を提供できるという例外規定を適用し、このような運用を実現したらしい。

認知症の人を世話する家族の苦労には限界がある。
認知症に関する知識を持ち、社会全体でバックアップする体制を作らないと、これから本格的に迎える高齢化社会は乗り切れないと思った。

1 件のコメント:

  1. 7年間、身元不明のままだった女性の家族が昨日の番組を見ていたらしく、なんと7年ぶりに夫と再会することができたらしい。
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140512/t10014391691000.html

    女性が身に着けていた結婚指輪に彫られていた5月12日の日付。
    何気なく見ていたが、それは今日の日付で、そして結婚記念日で、そんな日に再会できたんですね。
    でも、7年の歳月はあまりにも長かったと思う。
    警察間の行方不明者の情報共有は、本当に丁寧にやってほしい。

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