2014年5月11日日曜日

族長の秋/ガルシア・マルケス

2014年4月17日に亡くなったガルシア・マルケスの追悼文を池澤夏樹が書いていて、代表作である「百年の孤独」を除き、彼が推奨していた作品の一つが「族長の秋」だったので、読んでみた。

ページ数にすると240ページほどの中編小説なのだが、ものすごく長い物語のように感じた。

複数の人間の言葉が、独立した文章ではなく、一つの文章の中で融合しているため、誰が何の話をしているのかわからなくなることが多々あり、お世辞にも読みやすい物語とは言えない。

ラテンアメリカのどこかの国の独裁者(大統領)の物語。

権力と孤独、裏切り、陰謀、怠惰、虚偽、色欲。

大統領の意向に沿うようにと、宝くじが当たるように当選番号をコントロールする役目を負う少年たち。ラジオの悲恋ドラマでは、死にそうになるヒロインを大統領の意向で死なせないよう物語にする
大統領の色欲を満たすため、架空の女学校を作り、売春婦に女学生の格好をさせる。

そういったあり得ないような話も、例えば、北朝鮮という国を思い浮かべるとどうなのだろうと思ってしまう。

独裁政治は国民にとっても耐えがたく長く感じるが、それは独裁者自身にとっても終わりのない物語なのかもしれない。

その我慢を実感させるために、意図的にこんなに読みづらい文章にしたのかとも思う。

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