2013年2月16日土曜日

NHKスペシャル "核のゴミ"はどこへ ~検証・使用済み核燃料~

私は、再放送で見たのだが、ここまで踏み込んで取材し、分かりやすくまとめたNHKスタッフは素晴らしいと思った。
このような番組は、スポンサーがいる民放では決して取り上げることができないテーマであろう。

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0210/index.html

http://togetter.com/li/453603

以下、番組の内容で核心となる部分をまとめてみました。

原子力発電所の稼動で生じる使用済み核燃料は、使用後も数年間、高い放熱を止めないため、原子力発電所内の貯蔵プールで冷やされている。

事故があった福島第一原子力発電所の屋根が吹き飛んだ4号機の建屋上部の貯蔵プールにも250トンもの使用済み核燃料が保管されていて、事故直後の電源喪失で冷却水が送れなくなったことにより、メルトダウンの危険が迫っていた。

幸い、必死の放水作業でメルトダウンは避けることができたが、それが起きた場合、政府の最悪のシナリオでは、原発から250km範囲の首都圏まで避難を強いられる事態になったという。

使用済み核燃料は福島第一原子力発電所に限らず、全国の原発等で貯蔵され、その量はすでに1万7千トンに達しているという。

これら使用済み核燃料は、日本の法律では、"ゴミ"として取り扱わず、"資源"として取り扱うこととなっており、再処理された燃料は再び核燃料として使用できるが、その際に出る廃液は、人が触れると数分で死に至るほど極めて強い放射線を持つため、ガラスと混ぜて固め、地下300mより深くに埋めることになっている。これがいわゆる"核のゴミ"だ。

しかし、日本では、上記のような再処理は行われたことがない。

再処理の要である青森県六ヶ所村再処理工場が、トラブルの連続で操業開始を延期し続けており、高速増殖炉「もんじゅ」も、1995年の事故以来、ほとんど稼動していない。

さらに、核のゴミを埋め立て処分する場所も決まっていない。
国の方針としては、数十億円規模の交付金をあげることで、埋立処分地の候補を、全国の地方自治体に募っているらしいが、福島原発の事故以降、立候補に名乗りをあげる自治体はないという。

埋め立てに適しているかの地質調査、住民の理解を得るための手続きなどで、仮に今、申請があったとしても、決まるには約三十年ほどかかるといわれている。

つまり、日本では、再処理ができない使用済み核燃料が行き場所もなく、原子力発電所の貯蔵プールに溜まり続けているのだ。

さらに問題なのは、いまだ稼動したことがない核燃料サイクル事業に数兆円の費用がかかっており、すでに電気料金として徴収されているという事実だ。

国からも、再処理施設を運営する日本原燃に出資する東京電力からも、経営上のリスクとして、事業を見直すべきであるとの意見が出された経緯があったようだが、結局、核燃料サイクル事業の継続が決定されたという。

最大の理由は、核燃料サイクル事業を中止することとなった場合、すでに再処理工場に送られてきた大量の使用済み核燃料が、その瞬間から"核のゴミ"となり、青森県との契約に基づき、使用元の原子力発電所に返還されることになり、保管場所を失った原子力発電所は稼動できなくなってしまうからだ。

番組の最後で、政府の「安全が確認できた原発から再稼動していく」方針に疑問を投げかけ、

「原発を動かすことは、新たな使用済み核燃料を生み、新たな核のゴミを増やすことを意味する。"核のゴミ"問題の解決から目を背けることは、もはや許されない」

と述べていたが、そのとおり。

今また放置すれば、さらに問題は大きくなって、私たちに跳ね返ってくる。

0 件のコメント:

コメントを投稿