2013年2月19日火曜日

幻魔大戦 第六集(平井和正ライブラリー)

幻魔大戦 第六集(平井和正ライブラリー)は、角川文庫版でいうと、16巻から18巻までを収録している。

角川文庫版では、全20巻だから、いよいよ物語も最後への着地点に辿り着かなければならないが、その兆しはない。

東丈の失踪により、郁江が主導しようとするGENKENは、早くも分裂状態に陥るが、郁江の東丈がのり移ったかのような講演と、前世の記憶を平山圭子、田崎らから引き出す不思議現象を、巧みに会員に見せることによって、そのカリスマ性を現していく。

一方、東丈の失踪によりさらに気落ちした杉村由紀は、凶暴なヤクザ矢頭に襲われる。

ここでの小説的な工夫は、本当の敵である高鳥と久保陽子が結果的には杉村由紀を救ったという矛盾と、結局はその出来事を機に、杉村由紀がGENKENの信頼できる仲間の善意の力を借りず、独力で精神的に立ち直ったということだ。

そして、今まで裏方に徹していた姉の三千子が、丈の不在を埋めるべく、郁江の説得により積極的な活動をはじめようとする。

この第六集は、これらのこと以外はあまり語るべきことが見当たらない気がする。

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