2011年8月31日水曜日

ファーストガンダムの意外性


「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は、アニメ版機動戦士ガンダムのキャラクターデザインを
担当していた安彦良和氏の漫画作品だ。

小学生のころに、大ヒットした作品のせいか、懐かしさに駆られ、ついつい読んでいる。
原作は、富野喜幸氏なのかもしれないが、私にとっては、安彦氏の絵のガンダムが、「本当の
ガンダム」という思いが消えない。

ガンダムの魅力は、物語のリアルさと、登場人物のキャラクターがはっきりしていること、メカの
デザインのカッコよさが強く影響していると思う、。

物語のリアルさという点では、人類が増えすぎた人口を、スペースコロニーという人工の宇宙
都市に移民させている(地球以外の惑星に移住するよりリアル)ことや、その宇宙都市の
一つが、地球連邦に対して独立戦争を挑む背景も、そういうことが起こるかもしれないと思わせる
ものがある。

登場人物のキャラクターと言う点でも、簡単に説明できるほど、ビビットに印象に残るし、
バラエティに富んでいて、誰かしら感情移入できるようになっている。

アムロ…ちょっとオタク系。でもガンダムの操縦だけは上手い
シャア…ジオン前国王の息子、アムロのライバル
ララー…ジオンの不思議系キャラの女の子、シャアとアムロの間で
三角関係的な存在に
セイラ…シャーの妹で、気は強いがブラコン気味の女の子
ミライ…芯の強い頼りがいのあるお母さん的存在
ブライト…典型的な中間管理職のおじさん
フラウ…アムロを好きな普通の女の子
カ イ…ちょっと拗ねた感じのクセはあるが根はいい奴
ハヤト…アムロにライバル心を燃やすが敵わない普通の男の子
マチルダ…アムロの憧れの人。よくある年上のきれいなお姉さん
ガルマ…ジオン国王の末っ子。典型的なお坊ちゃん
ギレン・キシリア…ジオンの実質的な支配者、非情な政治家 などなど

キャラクターデザインと言う点では、やはり「ガンプラ」世代である。
ガンダムのお腹のコアファイターをたたむところが好きだったし、
今見ると、ザク(特に旧ザク)のデザインがいい。
モビルスーツ(機械を着る)という用語も、未だに新しさを感じる。

しかし、作品を読んでいて思ったのは、やはり主人公の意外性だろう。
THE ORIGINでは、シャア・セイラ編が追加され、シャアの生い立ちが
明らかにされているのだが、ジオン前国王の息子で、ザビ家に父親を
殺され、母親とは生き別れになってしまい、ザビ家に復讐していく過程が
描かれている。
キシリアに恐るべしと言われる胆力があり、頭もよくスポーツもできる
美男子だ。

一方のアムロは、ハロというおもちゃロボットの友達と遊ぶ程度で、
ほとんど部屋に閉じこもってPCをカチャカチャさせている、勉強もいまいちの
どちらかというと引きこもり気味の男の子だ。
父親や母親との関係性も薄い。極端にいうと、空っぽな人間だ。
(父親が設計したガンダムという点についても、アムロが感慨を持つシーンは
ひとつもない)

どうみても、主人公となるべき ドラマチックな要素を持っているのは、シャアで
あり、アムロではない。
しかし、その空っぽなアムロが、ガンダムというハイテクメカを使って、本来、
主人公であるシャアを凌ぐような能力を発揮してしまう というところが、
ファーストガンダムの持つ意外性であり、最大の特徴ではないかと思っている。

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