2018年3月19日月曜日

悪徳学園/平井和正

久々に、犬神明に会ったような気がした。
本作は、若い方の犬神明の第一作「狼の紋章」の原形のような作品だ。

不良学生の掃きだめのような中学校に、美しい女教師 斎木美夜が現れる。彼女は、卑猥な言動を繰り返す不良学生たちを無視し、一人の男子生徒だけ、特別扱いをする。
その学生の名前は、犬神明。不良学生たちから手ひどい暴力を受けても、抵抗せず、超然としてそれを受け流している。

しかし、犬神明を慕う同学年の郷明日子の言動と斎木美夜の特別扱いに、劣等感を刺激された不良学生たちが、郷明日子を暴行し、次いで、斎木美夜を拉致したことで、ついに、犬神明は、不良学生たちと戦う決意をする...という物語だ。

「狼の紋章」と大きく異なるのは、犬神明の運命的な女性 青鹿晶子が現れないところだが、そのせいかもしれないが、この物語は重苦しい情念さに深入りしない一定のクールさを保っている。

斎木美夜は、犬神明に関心を抱くが、彼に庇護してもらわないと生きていけないような弱さを感じさせない。不良学生たちに拉致されても恐怖を感じない強さを持っている。
彼女のキャラクターのウルフガイ・シリーズでの後継者という点では、青鹿晶子ではなく、石崎郷子なのかもしれない。

犬神明の斎木美夜に対する思いも一定の距離感があり、また、彼女を救うための不良学生たちに対する攻撃も最小限に抑制されており、本物の野生の狼のような所作が際立っている。

今の時代にどちらの作品が適しているかと問われたら、私は「狼の紋章」より、この「悪徳学園」のクールさを買うかもしれない。


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