2016年12月19日月曜日

撫物語/西尾維新

恋物語で、詐欺師の貝木泥舟に説得され、神様を辞めて漫画家を目指し始めた千石撫子の後日談である。

中学校にも行かず、引き籠り、ひたすら漫画を描いている千石撫子の家に、阿良々木月火の監視役として阿良々木家に人形としているはずの式神 斧乃木余接が何故か出入りしている。

親にも中学を卒業したら働けと言われ、焦り始めた千石撫子に、余接が、早く漫画家になれるよう、自分の分身を4つ作って漫画を描くのを手伝わせたらどうか、という提案する。

そして、千石撫子が過去の自分を四人描いて、余接が本当に式神化してしまう。

一人目は、おと撫子 前髪で表情を隠していた頃の大人しい撫子。
二人目は、媚び撫子 阿良々木に積極的にアピールしていた頃の撫子。
三人目は、逆撫子 クチナワに触発され、クラスメイトに逆切れした頃の撫子。
四人目は、神撫子 呪いの札を飲んで、神様になっていた頃の撫子。

この四人の撫子が逃げ出してしまったため、紙の世界に引き戻そうと苦闘する撫子本人(今撫子と呼んでいる)と、それを毒舌まじりにサポートする斧乃木余接。

他愛もない話のようだが、猫物語同様、千石撫子が過去の自分と向かい合い、自分の力で解決しようとしているプロセスを描いており、最後に、撫子自身が、最も問題の核心を秘めていた”おと撫子”の思いを受け止めたところで、ようやく千石撫子は一歩成長し、精神的にも自由になれたのかもしれない。

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