2016年11月6日日曜日

NHKスペシャル 廃炉への道2016 調査報告 膨らむコスト ~誰がどう負担していくか~

福島第一原子力発電所の事故に伴い、3つの大きなコストが発生している。

一つ目は、メルトダウンした燃料デブリを取り出す廃炉作業費用
二つ目は、避難した人達等への賠償費用
三つめは、除染作業費用


番組では、情報公開請求の資料や東電の公開資料等で、独自に試算していたが、
すでに、廃炉費用2兆円、賠償費用6.4兆円、除染費4.8兆円の合計約13兆円にコストが膨らんでいるらしい。そして、今後も、さらにコストは膨らむ見通しだ。

賠償費用については、東電が支払った賠償金分を、国は金融機構から借金し、原子力損害賠償支援機構経由で、東電に補てんしている。借入金だから当然利息も付くわけで、その利息分は、税金で賄われている。しかし、それでもお金は足りずに、東電以外の電力会社にも発電能力に応じて負担金を払わせており、それが電気料金の値上げという形で国民負担となっている。


除染費用については、国が支援機構を通して、東電の株を1兆円買うことで、資金支援している。
将来的に、東電の株価が3倍(1430円)になったところで売却し、その利益で資金の返済を考えているらしいが、素人考えでも、3倍になる見通しなど何処にもない(現在株価415円)。
しかし、除染費用は1兆円ではとても収まらず、費用は日々増加している。
最もコスト増になっている原因は、除染で出たゴミを収納するビニール袋が、この5年で劣化してしまい、 運搬時に、再度新しい袋に入れ替える作業が発生していることらしい。この新しい袋の費用だけで1兆円になってしまうとのこと。
そして、双葉町と大熊町に建設予定の中間貯蔵施設の運営管理も、東電の責任から外して、国が行うことにいつの間にか決まっていたらしい。

廃炉費用については、東電が負担することが原則になっているが、燃料デブリを取り出す費用を当初の見通し2500億円から、数千億円規模に拡大する見通しに改めたらしい。東電はさらなる国の支援を求めているらしく、現在、経済産業省の有識者会議(非公開)で議論されているが、今後、国民へさらなる負担を求めていくことになりそうだという。

番組では、国民負担は7割程度になるだろうと説明していたが、国から国民に対して、コスト負担の説明は全くと言っていいほど行われていない。

個人的な考えとしては、原発事故の費用を国民全体が負担せざるを得ないのはやむを得ないと思う。しかし、国民に何の説明もなく、情報公開もしない会議体で決定するのだけは、止めてほしい。

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161106

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