2012年8月1日水曜日
ブルジョワジーの秘かな愉しみ/ブニュエル
題名からして、挑発的で不純なものを感じる。
そして、その印象そのままの映画だと思う。
主人公は、裕福な生活をしている二組の夫婦と、そのうちの一組の妻の妹、ミランダ共和国の大使の男三人、女三人だ。
あらすじらしきものはないが、六人は、度々、晩餐会や昼食を食べようと約束する。しかし、必ず何か事件が起きて、彼らは食事を最後まで食べきることができない。
友人の家を訪ねるが、食事会の日にちを勘違いしてしまい、食べれず。代わりに訪ねたレストランでは、なじみのシェフが急死し、裏方では弔われて、食欲をなくす。
再び、今度は約束の日時どおり、友人の夫婦宅を訪ねるが、夫婦はセックスの途中で、庭先で行為を続け、訪ねてきた友人を待たせる。終わった後に客間に行くとその友人たちは帰ってしまっていた。彼らは、夫婦がすぐに現れないことに警察の影を感じ、怯えて早々に帰ってしまったのだ。(何をしているのかよく分からない六人だが麻薬取引を行っているシーンがある)。
今度こそはと、集まった友人宅の晩餐会では、何故か、軍隊がその友人宅に駐留することになっていて、日にちを間違えて訪ねてくる。それでも食事を続けていると、兵士が見たよい夢(死んだ恋人や友人の幽霊の夢)が披露され、軍隊が立ち去った後も銃撃戦の音で、おちおち食べられない。
それ以外にも、女三人が入ったカフェでは、お茶もコーヒーも飲めず、ここでも、兵隊の亡霊の話。
ミランダ共和国の大使が、一組の夫婦の妻と浮気をしようとするが、そのときに夫が訪ねてきてしまい、成功せず。自分の命をねらうゲリラの女性を捕まえて、いやらしい事をしようとするが、これも女性の抵抗にあって事が果たせず。
こんなシーンがひたすら繰り返される。
また、映画の中で、何故か一組の夫婦宅の庭師の仕事を希望する司教も出てくるが、これも相当にうさんくさい。
ピラミッドがどこの国ににあるかも分からないほど無教養で、偶然、自分の親を殺害した男の懺悔を聞き、迷いもなく猟銃で撃ち殺してしまうような男だ。
神を信じないブニュエルの描く世界観の登場人物だが、このような世界では、人は常に渇きしか感じられないのかもしれない。
それは、映画の中で何度か映る六人が連れ立って、のどかな田園の道をふらふらと歩いているシーンが象徴している。
彼らは連れ立ちながらも、てんで別の何かを考え、孤独にさすらっているように見えるのだ。
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