その3巻目である「陽のあたる坂道」で、思わず、はっとさせられるような言葉を見つけた。
看護師として働いている姉妹の長女 幸(さち)は、周りからも 「ダメナース」と思われている同じ職場で働く後輩アライに対し、いつも怒鳴っていてばかりいるのだが、ある時、そのアライが、エンゼル・ケア(亡くなった人の死後のケア)のひとつひとつの処置を、患者がまだ生きているみたいに話しかけながら、とても丁寧に行っていることに気づく。
そして、幸は、同じ病院の同僚と飲んだ席で、こんな告白をする。
…あたしも後輩ナースのマイナス面ばかり見てたのかもしれません。
妙なカンちがいはするし、作業は遅いし、典型的なダメナースだと思っていたんですが、患者さんの安全にかかわるようなミスは絶対しません。
ひょっとしたら、彼女は「とても大切なこと」とそれ以外のオン・オフがあまりに激しくて不器用なだけかもしれないな…と。
そしてその「とても大切なこと」は案外まちがっていない気がするんです。そして、 幸は、師長から打診された「緩和ケア病棟」(ガン患者など終末期の患者が多くいる病棟)への異動を引き受けるのとともに、アライもその担当に推薦する。
自分の周りにも、アライさんみたいな人がいたら、そして、
周りの人からは馬鹿にされているけれど、その人の行動をじっくり見たら、
今まで見えなかった短所の裏返しにある長所がくっきりと見えてくるかもしれませんね。
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