2015年7月26日日曜日

ザ・クリスタルボール /エリヤフ・ゴールドラット

原題“Isn't it Obvious”は、当たり前でしょう? または 見れば分かるでしょう?だろうか。

例によって、問題を抱える業績の振るわない会社が、めざましく改善してゆく物語なのだが、この作品では、ホームテキスタイル(家庭用繊維製品の意味)を取り扱っているチェーン店が舞台だ。

テーブルクロスやカーペット、シーツなどを取り扱う小売業なのだが、日本でいうと、どんな会社なのだろう?(近いのはニトリだろうか?)

その不振のチェーン店で、水道管の破裂事故が発生し、地下倉庫が使えなくなってしまう。

店には、商品在庫が置けなくなってしまったことから、20日分の最小限の商品だけを店に残し、残りは地域倉庫(メーカーからエリア内にあるチェーン店への物流の中間に位置し、商品を保管する倉庫)に預けてしまう。空いた棚には別の商品を並べる。そして、商品が必要になった都度、地域倉庫から小分けに商品を届けてもらう。

そんな通常では行わないような緊急措置対応をしたところ、 エリア10店舗で8位の成績だった店が、いきなり、1位の成績を残す結果になる。

店長のポールは、その偶然から、 売上と在庫のジレンマを解決するクリスタル・ボール(魔法の水晶玉)のようなソリューションを、地域倉庫のマネージャー、仕入担当責任者の妻などの力を借りて見つけ出し、やがて、それを全てのチェーン店に導入することを計画する。

客が欲しい商品を、常に用意・提供し、売れない商品は、極力、在庫として持たない。
いつもながら、エリヤフ・ゴールドラットのロジックは本当なの?と疑ってしまうくらいシンプルだ。

私は、この小説を読んで、アマゾン・ドット・コムとか、巨大な倉庫を有する企業をイメージしました。

日本では、売上・利益率向上のためには、接客サービスの向上とか、高機能な商品の開発とか、人的な努力に力を注ぎそうですが、物流や在庫管理に目を向けているのは、いかにもアメリカらしい。

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