その男の名は、アーネスト・ヘミングウェイなのだが、「老人の海」や、「武器よさらば」、「誰がために鐘は鳴る」などから受ける男らしい作家、各地の戦争に従軍したマッチョなイメージはない。
映画では、ヘミングウェイが、ガートルード・スタイン女史のサロンに出入りしているシーンも描かれているが、その舞台となるパリで発表された最初の長編が「日はまた昇る」だ。
短かく乾いた文体、バーやバーテンダー、酒の描写、内省的な主人公…ハードボイルド小説の源流を感じるような作品だ。
1926年の作品だが、登場人物の会話のやりとりを読んでも、違和感をあまり感じないのはなぜだろうか。
スタイン女史は、ヘミングウェイやフィッツジェラルドの世代を「ロスト・ジェネレーション」と呼んだ。
日本でも就職難の若者たちを「ロスト・ジェネレーション」と呼んだりするが、先が見えない閉塞的な時代感覚という意味では、第一次世界大戦後の世界と今は、意外と共通点が多いのかもしれない。
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