もう秋だ…で始まるのは、有名なフランスの詩人ランボーの「地獄の季節」にある「別れ」の一節だが、夕方、影が長くなっているのを見ると、もう秋だ…と思う。
東京では、影の長さを感じることは少ない。
影が映えるのは、大きな壁や柔らかい稲穂が実った田圃のような広い平面が必要だ。
昔、田舎に住んでいたころは、ガソリンスタンドの店舗のひかりが作りだす、自転車で移動する自分の影が、黄金色の稲穂のうえで、二重三重にほのかにぶれて、次第に重なって一つの濃い影に変わっていくさまをみるのが好きだった。その間、5秒程度だが、いつも、ペダルを踏むのをやめ、車輪がカラカラ音を立てるのを聞きながら、よそみをして影にみとれていた。
私にとっての秋は9月中旬から下旬ごろ。記念日も何もないのに、おかしな話だが心の中で「黄金週間」と名づけている。
9月は、いつも、秋っぽい何かがしたいと思う。
しかし、その何かが何なのか見つけられないまま、あっというまに10月になってしまうことが多い。
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