2011年10月2日日曜日

ルイス・ブニュエルの「銀河」

題名にひかれて観た映画ですが、宇宙ものとは何も関係がありません。

キリスト教の3大聖地のひとつ、スペインのサンチャゴへパリから行く巡礼が、長い道のりをたどるため、「銀河」と例えられたものだ。

この巡礼の道を、若い男と老人の二人組み(浮浪者に近い)が旅をしていくなかで、キリスト教の正教と異端をそれぞれ具現化したような怪しい人たちに次から次へと出会っていくロード・ムービーである。

そして途中、人のよさそうな聖母マリアと妙に人間くさいキリスト本人も現れるなど、時代が交錯していく。

テーマからして宗教色の強い難しそうな印象を受けるが、感想としては至って軽い感じでみることができる映画だ。

ただ、ブニュエル自身がねらったとおり、その軽さゆえに、みようによっては相当いかがわしい感じを受ける映画でもある。

野外学芸会に出演するあどけない少女たちが、(おそらくは学校や親に言わされている)異端者を呪う言葉を発表するシーンと、女性革命家が法王を射殺するシーンをかぶせるあたりなどは、かなり過激な印象を受けた。

1968年のブニュエル後期の作品ですが、今みても古くさい感じがしない映画です。

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