2012年9月24日月曜日

NHKスペシャル 「出稼ぎ少女たちの旅路」を見て

NHKスペシャル 「出稼ぎ少女たちの旅路」を見て、あらためて自分は中国をよく知らないことに気づかされた。

1994年に放映された番組の再放送で、農村から深圳の精密電子部品工場に出稼ぎにいった少女たち(16~22才)の生活の実態が取り上げられていた。

農村と都市の生活レベルに格差があることは知っていたが、驚いたのは、中国の戸籍制度では、「農村戸口」(農村戸籍)を持つ農民が、都市に移転すること(「城市戸口」(都市戸籍)を取得すること)は基本的に禁止されているということだ。

これは、「出稼ぎ」という社会現象と一見矛盾するが、出稼ぎに来た少女たちが与えられるのは、就労のための臨時戸籍だけで、都市では正式な戸籍を持つことができず、二十二歳になると、いやおうなく貧しい農村(出稼ぎの少女の年収は農村にいる両親の稼ぎの2倍)に戻らなければならない。


(戸籍を持たないまま都市に定住することもできるが、医療や子供の教育などの面で、都市住民が享受できる公共サービスを受けられないだけではなく、就職や労働条件面でも差別を受け、弱い立場に立たされるそうだ)


農村戸籍を持つ人が都市戸籍を取るには、競争率500倍の試験(高校卒業の学歴も必要)に合格し、手数料10000元(農村で煉瓦の家が建てられる)が必要となる。

このような政策がとられている理由は、細かい部品の組み立て作業は、二十歳前後の年齢が限界でありるということと、取り替えがきく安価な労働力ということだったのだろう。

中国を世界第二位の経済大国に押し上げた多くの安価な労働力。それを支えてきたのが農民工といわれる出稼ぎ労働者たちだった。

番組では、2012年現在の深圳の様子も取材されていたが、出稼ぎ少女の待遇は著しく改善されていた(工場の女子寮が十二人部屋から五人部屋になっていたり、給料が18年前より7倍になっていることなど)。また、こういった農村戸籍の人たちが待遇改善のためのデモを行うようになった。

下記の記述をみると、少しずつ、都市戸籍取得の要件は緩和されてきているようだ。
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/120528ssqs.htm

番組では、石平さんも出演していたが、彼のホームページの記述が分かりやすかったので紹介しておく。
http://www.seki-hei.com/column/

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