2011年12月13日火曜日

断腸亭日乗/永井荷風

「断腸亭日乗」は、永井荷風が大正6年(1917年)9月16日から、死の前日の昭和34年(1959年)4月29日まで書き続けた日記だ。

ぱらぱらと適当なページを開いて読んでいると、面白い日記がたまに出てくる。

昭和11年(1936年)1月30日などは、住み込みの召使の下女が、手切金(ということはただの召使の関係ではない?)をとらずにいなくなったことに関し、三、四十年来、一人だけだったことを特筆している。(荷風はかなりケチだったみたいです)

また、荷風がそれまで付き合っていた女性16人(大半が芸者・女給)に関して、名前、馴れ初め、身受の時の金額などが、事細かに記されている。
(いずれ、公になることを想定して書いている日記に、こういう情報を平然と載せるあたり、やっぱり、荷風はちょっと変わっているような気がします)

十六まで書いて、「この外、臨時のもの挙ぐるに遑(いとま)あらず、」と記されているあたり、荷風のどうしようもない好色さと苦労がにじんでいて、読んでいて味わい深い。

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