この中に、カフカの奇妙な一日の過ごし方が載っている。
朝八時より午後二時ないし二時半 労働者傷害保険協会勤務
午後三時ないし三時半 昼食
七時半まで 仮眠
そのあと(約十分間) 体操
そのあと一時間 散歩
そのあと 家族と食事
夜十時半ないし十一時半より 執筆
(しばしば夜明けまで)
そのあと 体操
そのあと ベッドカフカは二十年近くこの生活を続け、サラリーマンのかたわら、小説を書いた。
なぜ、こんな無理な生活をしたのだろうか。
カフカの母親は、息子が心配なあまり、カフカの文通相手の女性の手紙を盗み見、ひそかに、その女性に手紙を送って、書きもののせいで無理をしないように息子に注意してほしいと頼んだ。
「ぼくの書くものに価値がないとしたら、それはつまり、この自分がまるで無価値だということだ」
こんな言葉も、女性に対する手紙に書いていた。
ピュアな男である。
カフカは、結局、無理がたたって咽頭結核にかかってしまう。
しかし、彼が命を削って書いた小説たちは、今だにその魅力を失っていない。
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