2018年9月19日水曜日

最高級有機質肥料・腸はどこへいった/筒井康隆

どちらも読むのは覚悟がいる短編かもしれない。
人間の排泄物についての物語だからだ。

「最高級有機質肥料」は、ミトラヴァルナという惑星に大使として赴任した男の悲劇だ。
彼の前任の大使は皆、栄養失調かつ自閉症になって地球に戻っていたが原因が分からない。それでも、男は、行けば上役の美しい娘と付き合える特典に目がくらみ、惑星に赴き、植物から進化したミトラヴァルナ人の首相や大臣たちに豪奢な料理で歓待される。
腹一杯になり、なぜ前任者が栄養失調になったのか不可解に思う男に、首相が目を輝かせて会いに来るのだが…という物語だ。

結局、男も自閉症になってしまうのだが、彼の偉いところは、子孫たちに対して、人間の排泄物を「汚物」として教え込まないほうがよいという提言を報告書にまとめるところだ。しかし、上役の美しい娘に対して何も感じなくなってしまうという悲劇が妙に共感できる。

「腸はどこへいった」も、奇妙な話だ。トイレに入って英単語を覚えることが得意な男が、英単語に気を取られているうちに、自分が3ヶ月もの間、大便を全くしていない事実に気づく。にも関わらず、男の健康状態は至って良好。

原因は彼が腸捻転を患った時に、外科医のおじが施した手術にあることが分かる。それは、メビウスの輪のように彼の腸が別の宇宙につながってしまっていたのだ。男はおじに腸を元どおりに戻すことを頼み、その願いは実現するのだが別の宇宙に隠れていた彼の大便が…という物語だ。

清潔好きで気の弱い方は読まないことをお勧めする。
夢でうなされるかもしれない。






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