2014年9月1日月曜日

海街diary6 四月になれば彼女は/吉田秋生

海街シリーズも6巻目かと思う。

最近、分厚い本ばかり読んでいたので、買った時の本の薄さに久々にびっくりしたが、一読して、とても面白かったし、作品のレベルは下がっていないと思った。

この物語は、意外と人の死に伴う相続のもめごととか、わりと生々しい話に触れている機会が多いのだが、

海猫食堂のおばさんが癌で亡くなる際、おばさんが、不義理の弟には法定相続分だけにして、食堂を手伝い、病気の自分を世話してくれた人たちに対して、残りの全財産を遺贈しようとしたが、相続のアドバイザーをしていた信用金庫の課長が、「あなたの善意があなたの大切な人を傷つけるかもしれない」と諭し、20万円程度の遺贈に抑えたというエピソードは、なるほど、そういうものなのかと考えさせられた。

さらに、その後のおばさんの言葉も。

「死んだ後のことは正直考えてなかったわ 先に死んでいく者の願うことは すべてかなえられると思うのは やっぱり傲慢よね」

こういうのは、法制度だけ理解しても分からない大人の言葉ですね。

こんな大人の対応をする信用金庫の課長に惹かれ、ついに恋を意識し始めた佳乃の邪悪なオーラがいい。(他が、みんな、いい人ばっかりだから)

すずの進路がどうなるのかということも含め、次巻も楽しみ。

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