今日、NHKのニュースで、走行距離が長い電気自動車の販売を開始したテスラモーターズのイーロン マスク氏のインタビューが放映されていた。
彼は、アップルの亡くなったジョブス氏のような力を持った次世代の経営者として注目されている人物らしく、彼が手がけるビジネスは、電気自動車だけでなく、太陽光エネルギー、宇宙ビジネスなど、とても幅が広い。
そのマスク氏が、このようなイノベーションを起こせているのは、自分が学んだ物理学の考え方が活きているのだと思う。物理学の物の見方は常識にとらわれることなく真実を見定めることができるから、とコメントしているのを見て、エリヤフ・ゴールドラット氏が書いた「ザ・ゴール」のことが、ふと頭を過った。
この「ザ・ゴール」では、不採算を理由に工場閉鎖を迫られた主人公の工場長アレックスが、彼の恩師である物理学者 ジョナの助言を得て、工場の生産現場の諸問題を、それまでの常識的な考えにとらわれることなく、科学的な分析に基づき解明してゆき、わずか3ヶ月の間に、工場の経営を立て直したという物語だ。
まず、企業の究極の目的は、金を儲け続けること、と潔く認めてしまうところが良い。
企業価値の提供とか、社会貢献とかより、よほど分かりやすい。
そして、その目的の達成のためには、①スループット(製品の販売を通じてお金を作り出す割合。)を増やすか、②在庫を減らすか、③業務費用(経費)を減らすという3つの方法しかない。
重要度は、番号のとおり、スループットが一番重要。
工場のスループットを最大化するためには、実際に顧客に売れるアウトプットを最大にすればよいのだが、実際には、その工程のどこかで、制約条件(ボトルネック)があり、このボトルネックの生産能力で、工場の生産量が決まってしまう。
よって、このボトルネックに改善努力を集中して、その生産能力を最大に引き上げる必要がある。
だから、ボトルネック工程の前には常に適切な在庫を用意し、ボトルネックが無動状態に陥ることがないようにしなければならない。(ボトルネック工程の停止は工場全体の停止を意味する)
面白いのは、ボトルネック工程の前に置く在庫以外の在庫を作り出す非ボトルネック工程では、無動が発生してもよいという考え方だ。つまり、作業員や機械を遊ばせておいてもよいということ。
非ボトルネック工程で人や機械をたくさん働かせても、工場の生産性は向上せず、むしろ、余剰在庫を作り出すだけで、目的に反することになってしまうことになるらしい。
工場の生産管理は、工程とアウトプットするものが明確なだけに、案外、科学な解法が馴染みやすいものなのかもしれない。
全く興味がない分野だったが、常識的な考えを一旦捨てて、科学的な見地からみると、思いもしないところに原因があることが分かるというプロセスは、なかなか面白いものだと思う。
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