2012年1月21日土曜日

Drugstore Cowboy/Gus Van Sant

ガス・ヴァン・サントの「ドラッグストア・カウボーイ」は、好きな映画のひとつだ。

ジャンキー(麻薬中毒者)の主人公ボブと、その彼女ダイアン、相棒のリック、その彼女ナディーンの4人が、ドラッグストアを襲撃しては、薬を奪い、犯罪のスリルと薬の快楽に溺れる生活を送っている。
しかし、ナディーンの死をきっかけに、ボブは仲間から離れ、薬を止めて、更生を図ろうとする。

犬を飼うことと、ベッドに帽子を置くことが不運を招き寄せるという彼らの中のジンクス。
そのジンクスを知りながら、あえて、ナディーンが帽子を置いたことで、彼らは本当の不運に巻き込まれる。

いつかは破滅すると思っていたと、ボブが述懐するように、ベッドの上の帽子をきっかけに、ボブは、この生活にピリオドを打ちたがっていたのかもしれない。

仲間のナディーンが死んだことや、そのとき、警察の集会に巻き込まれ、刑務所送りになる恐怖にさられたことも原因としてはあるのかもしれない。

しかし、ダイアンや恋人のリックが、それでもジャンキー(麻薬中毒者)を止めようとしなかったのに、なぜ、ボブだけが普通の生活に戻ろうとしたのか?

久々に映画を見返していたら、ボブが天井裏に隠したナディーンの死体の傍で、顔をしかめるシーンがあった。死体の腐敗臭を、嗅いだのかもしれない。

ボブは、リーダーの責任からだろうか、生前は嫌っていたナディーンの死体の後始末を最後まで自分の手で行った。
つまり、彼は一番、死体と長く過ごしていたことになる。


彼は、死のにおいを嗅いで、正気に戻った。そうも言えるのではないだろうか。

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