鷗外と思しき男が、夢の中と思われる世界の中で、黒人の少年とアイルランド人の外国人を召使いに使っている、貴族的な立派な顔をした男のいる部屋に招かれる。
男が言うには、召使たちが、よそで働く際に高い給金を得られるよう、逆にお金を払ってまで彼のもとで働くのだという。
それだけではない、有名な料亭やフランス料理店、カフェも、流行りに乗るために、彼のもとにお金を払って飲食物を運んで食べてもらうのだという。
三越も、様々な洋服を男のもとに持ってくる。男が一つ一つ服のポケットに手を突っ込むと、百円札が入っている。一番面倒なのは、彼のもとに訪れる芸者や娼婦の扱いだという。
ただ、こんな事をしておいて可笑しいのは、この男は、不味いものは人に食わせてしまったり、手落ちがあった服は袖を通さないというモラルの感覚はあるらしい。鷗外の嫌悪感にも敏感に反応する。
小説の終わり方も、洒落ている。
設定を変えれば、今の小説として、雑誌なんかに載っていても、ちっともおかしくない印象を受けた。
0 件のコメント:
コメントを投稿