2018年10月8日月曜日

消えた臨急・甲虫採集家/コナン・ドイル

「消えた臨急」は、小柄な中年男の依頼でリヴァプール駅を出発した臨時列車が、乗客2名、火夫1名、機関士1名、車掌1名を乗せたまま、線路上で消失してしまう事件。
この当時、お金さえ出せば、臨時で列車を走らせることも出来たというのが、まず面白い。

まるで、ホームズを思わせる町で著名な推理家の推理を紹介されたり、消えた列車の車掌が妻に宛てた手紙が紹介されるが、どれも直ちには真実に結びつかない。

やがて、別の殺人事件で逮捕されたフランス人の男の告白で、事件の真相が明るみになるのだが、パリの政治情勢などを巧みに織り込み、スキのない堅牢な推理小説になっている。
自分の能力と犯罪に絶大な自信を持っている犯人も、ホームズの変形キャラと言っていいだろう。

「甲虫採集家」は、医師で、身体強健、精神堅固、決断力旺盛にして、かつ昆虫学者特にカブトムシ学者なら可 という奇妙な求人広告に、金に困った医師が申込み、経験した奇妙な事件。

彼を雇った貴族らしい中年男は、特に理由を説明しないが、中年男の妹と思われる顔に傷を負った女性の夫のもとに連れていかれることがわかる。そして、その夫は有名なカブト虫の研究家だった...という話だ。

奇妙ではあるが、結末もほのぼのとしていて、「赤毛組合」を書いたコナン・ドイルらしい作品。




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