筒井康隆が書いたライトノベル。SF学園もの?である。
でも、さすがというか、過激な内容になっている。
美少女のビアンカは、生物研究部の部員で、ウニを使った生殖の研究にのめり込んでいたが、それにあきたらず、自分を恋い慕っている後輩の男子生徒の塩崎の精子を採取し、観察を始める。
そして、別の男子の精子をと触手を伸ばした生物研究部の先輩部員が、実は未来から来たことがわかる。彼の世界では食用家畜として生物を巨大化させる実験が行われていたが、体長50センチに成長したカマキリが逃げ出し、群れになって人間社会を脅かしていた。その巨大カマキリを退治するため、ビアンカは、未来のDNA技術を用いて、人の精子をカエルへ授精し、カエル人間を作り出すことを思いつく。
タイムトラベル、多元宇宙というSFお決まりの話も出てくる一方、剃刀で切り取ったヤクザの陰嚢を新聞紙で包んでくる生物研究部の部室に来る美少女が表紙にあるような可愛いイラスト入りで描かれているのが、こわい。
しかし、総じていえば、ちょっとしたビジュアルと肉体的な刺激で精子を搾り取られる男子生徒は弱弱しく、勢いのない精子しか作り出すことが出来ない男たちがいる未来社会は、現代よりはるかに衰弱したイメージで描かれており、ビアンカに代表される女性たちにこれからの時代がかかっているような雰囲気が印象的だった。
今の男子の草食ぶりと、反原発から原発への揺り戻し、結局、地球温暖化は止められなかった人類の行く末に対する皮肉めいた作者の思いが、このライトノベルから透けて見える。
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