夫婦の関係を、相手の肉体の所有という観点から描いているこの作品も独特の雰囲気がある。
夫が亡くなった妻の身体に激しく所有欲を感じ、葬儀前、二人きりになったところで、死姦する。
己(おれ)のものだぞと、冷たくなった妻の死体を抱きしめ、性交を試みる行為を、愛情の表れと見るか、異常性欲と見るか。
最後、息子が寝ずの番を代わろうと自宅に来るのを必死に拒む夫の強い口調に滑稽感がにじむ。
夫は、妻が生きている時には、その身体を完全には独占できない。
しかし、妻が死んで「物」になった時でさえ、さまざまな制約や妨害があって、その「物」を自由に扱うことができない。
夫のもどかしさが、タイトルの「半所有者」にうまく表現されている。
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