原発事故によって、全域避難が指示された20km圏内の無人の街では、この5年の歳月で、野生の動植物に支配されつつある状況にあるという。
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160306
植物のツタが家を覆い、無人となった家々はアライグマ、ハクビシンが天井裏に入り込み、イノシシの大家族も雨露をしのぐ絶好の住処としている。
完全に主客転倒した街では、イノシシは人間に出会っても恐れず、むしろ、侵入者として人を威嚇してくる。
地元の猟師の人たちによると、こういう状態になると人が帰ってきたからといって、イノシシが山に帰るということは、よほどの大きな圧力がかからない限り、絶対にあり得ないということだった。
イノシシは定期的に駆除はされているようだが、一向に数は減らないという。
自然に戻るということは一見よさそうにも見えるが、現実的に帰還しようとする人々の大きな障害になるのは確実だろう。
番組ではもう一つの側面として、動植物が被曝してどうなっているかということを取り上げていた。
森は地面を中心にスーパーホットスポットと呼ばれる毎時100マイクロシーベルトの高い線量が計測される場所がまだあるという。
そこで育つ植物にも、その植物を食べる昆虫や動物にも、特殊なフィルムでみると、セシウムを摂取した黒い影が体全体を覆っていることが分かっている。
セシウムは、体に必要なカリウムと似ているため、体内に取り込まれやすいという。
ただ、間違いなく被曝はしているのだが、ネズミなどは現時点では特に染色体にも影響がないという。
番組ではチェルノブイリでの被曝した動植物との比較がなされていたが、松の枝は、幹が育たず、枝が放射線状に育つ異常が現れるという。(福島でも確認された)
ツバメも、尾の左右の長さがアンバランスになる確率が高いという。(これも福島でも確認された)
もう一つ、興味深いのは、チェルノブイリではいなかった哺乳類 ニホンザルへの影響である。
これについても、見た目や血液にも異常は見られないということだが、一部の個体には骨髄の血液をつくり出す細胞の数が異常に減少していることが分かったという。
ただ、こうした放射能の生物への影響は二十年単位で継続して観察しないと分からないということらしい。
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