安倍政権は「国家は株式会社のように運営されるべきだ」と考えている、というこの一言で、安倍政権と日本国民の実態が、とてもよく理解できた。
株式会社が最優先すること、それは利益である。
→アベノミクス
利益を上げるために、経営者の視点からみて、できるだけ低賃金で高能力の人材と、使いやすい労働制度を求める。
→グローバル人材の教育推進、残業代ゼロ法案、労働者派遣法改正
より多くの利益を求めるため、効率性を重視する。その効率性を阻害するものを排除する。
→議論と手続を重んじる民主制、立憲主義を否定し、独裁制にする
(意思決定が速く経営が上手いワンマン社長のイメージ)
→特定秘密保護法案の強行採決(事実上の憲法21条(表現・思想の自由)の廃絶)、
集団的自衛権行使を可能とする閣議決定(事実上の憲法9条の廃絶)
株式会社は有限責任
→倒産した会社(大日本帝国)が負っている負債(戦争責任)を引き継がない
(戦争をしたのは私たちではなく先行世代であるという自民党の政治家の発言)
(本書でも述べられている通り、国家はまさに無限責任でなければならない)
考えを同じくするグローバル企業(輸出企業)を優遇する
→法人税減税法案、原発再稼働
そしてそういうビジネスマン的な考えに慣れた(サラリーマンとして飼いならされた)国民の過半数が、企業の収益の最大化のためなら、自分たちの安全や健康、思想や自由を犠牲に差し出してもかまわないと考えているという説明は、実に明快だ。
それが、最近の新聞報道にあった圧倒的な自公優勢の選挙結果の予想なのだろう。
本書では、内田氏が、安倍政権の日本の今後を以下のとおり予測している。
・独裁的な政体
・平和主義外交の終わり
本書冒頭の「私たちが今いるのは、負けた戦争と、これから起こる次の戦争にはさまれた戦争間期ではないか」という内田氏の予感が、現実のものとならないことを心から願う。
週刊プレイボーイ掲載の『街場の戦争論』についてのインタビュー
http://blog.tatsuru.com/2014/12/10_1617.php
安倍さんたちが目指しているのは、北朝鮮とシンガポールを合わせたような国だと思います。政治的には北朝鮮がモデルです。市民に政治的自由がなく、強権的な支配体制で、自前の核戦力があって国際社会に対して強面ができる国になりたいと思っている。経済的な理想はシンガポールでしょう。国家目標が経済成長で、あらゆる社会制度が金儲けしやすいように設計されている国にしたい。
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