小説家 福永武彦が書いたSF小説。
人生に絶望した男が行き着いた場所、それは「自殺酒場」だった。
BAR SUICIDE
そこで男は、怪しいバーテンダーに、死にたければ特別のカクテルを作るともちかけられ、人が止めるのも聞かず、それを飲み干してしまう。
死んだと思った男は、「自殺酒場」にいた男とともに、未来都市へ向かう汽車の中、目覚める。
たどり着いた男が、未来都市で目にしたのは、天才哲学者の管理の下、人間の悪しき記憶や意識が取り除かれた幸福な人々が住む街の風景だった…
まず、冒頭の「自殺酒場」という奇抜な発想がいい。
(ドアーズの「アラバマ・ソング」がBGMでかかっていそう)
この物語は、息子の池澤夏樹が書いたSF小説「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」に、雰囲気がとても似ている。
特に未来都市のイメージ。
「やがて…」のほうは、コンピュータによって管理されているが、人々が欲望を抑えて穏やかに暮らしている様子などは、「未来都市」と、ほぼ同じといっていい。
池澤夏樹が意識して構成を似せたのか、気になるところだが、娘の池澤春菜さんといい、SF小説に足を踏み入れているところは、やはり遺伝的なものなのかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿