2012年7月30日月曜日

欲望のあいまいな対象/ブニュエル


金持ちの初老の男マチューが、自分の家にメイドとして働きに来た若く美しいコンチータを見初め、何とか、彼女を物にしようと四苦八苦するが、彼女に翻弄されし続けるというストーリー。

さんざん貢ぎ、何とかコンチータを自分の別荘に連れ込み、事に及ぼうとしたら、強力な貞操帯をつけており、必死に糸を解こうと苦戦して何も致せず、呆然とするマチューには、思わず笑ってしまった。
そんな出来事を、パリ行きの列車のコパートメントの六人掛けの席(子供も聞いている)で、あけすけに話しているのが、また可笑しい。

コンチータは、二人一役で、上品な一面を、キャロル・ブーケが、奔放で下品な一面を、アンヘラ・モリーナが演じていて、何も知らないで見ていると、あれっという感じになる。(女性にはそういう二面性があるということの演出なのでしょうね)

ブニュエル最後の作品で、所々、ブニュエル特有の皮肉めいたセリフや、意味深で不可解なシーンが出てくるが、そういう小手先よりも、まず、この作品のもつ喜劇性が印象に残った。

フェリーニが晩年に作った「女の都」と、ちょっと似ているなと思いました。

谷崎も晩年、瘋癲老人日記を書きましたが、私の好きな老大家の晩年の作品は、結局、人間(特に男)という存在は愚かである(愚かであることが楽しい)ことを描いているところが共通しているようです。

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