「玉鬘」は、光君がかつて愛し、それが原因で生霊の六条御息所に殺された夕顔が遺した姫(頭中将との子)玉鬘をめぐる物語だ。
母親の死後、玉鬘は乳母の夫が筑紫に赴任する際に連れていかれ、二十歳の美しい姫になっている。
その美しさは評判になり、地元の武士からも言い寄られるようになり、姫の身の危険を感じた乳母は、親族の一部とも別れ、京に姫を連れ戻ってくる。
そして、京に無事にたどり着けたお礼参りに初瀬の観音に参詣に行く途中で泊まった宿で、偶然、夕顔のもとで女房として務めていた右近と遭遇する。
右近も、かつての主人であった夕顔のことを忘れておらず、出会った一行が夕顔の関係者であることに気づく。
右近は、早速、夕顔の娘に会ったことを光君に告げ、光君は、玉鬘が夕顔に負けず美貌の姫であることを知り、六条院の東北の町(花散里)に住まわせることにする。
「初音」は、元日の六条院の様子を描いた作品だ。
紫の上とは仲睦まじい。
明石の方の娘との歌のやり取りでは、長い間、母親である明石の方とは会わず、別々に住んでいることがわかる。
花散里とは、もはや男女の関係ではないらしい。髪の毛が薄くなっている。
玉鬘は美しい容姿で、光君もこのまま娘として扱うことは出来ぬのではと危機感を覚えている。
明石の方には、優雅な気品があり、光君は別れがたく、その晩彼女の館に泊まってしまう。
光君は律儀な男で、二条東院(別宅?)に住む末摘花と空蝉のところにも挨拶に行く。
末摘花も髪の毛が薄くなり、白髪が目立ち、着るものも美しさがないが、鼻の赤さだけは健在。
尼になった空蝉は、今は光君の援助を受けて暮らしていることがわかるが、さすがに尼になってしまったので、光君も男女の話は出来ない。
自分の息子 夕霧も参加した男踏歌の一行も歓待し、六条院の繁栄が伝わってくる。
この時代、トリートメントなどもなかったから、女性の髪も傷んで薄くなってしまうこともあったのだろうか。光君の容姿は全く衰えないというのに。
しかし、玉鬘や夕霧の成長といい、物語の時間は確実に過ぎていることが分かる。
0 件のコメント:
コメントを投稿