池澤夏樹編集の「近現代作家集」も3冊目だが、この巻も、バラエティに富んでいて、かつ、普通その作品は選ばないだろうという読者の予想を裏切る思いっきりの良い編集になっている(ただし、村上春樹を除く)。
内田百閒の「日没閉門」もその一つで、普通だったら、彼の幻想的な作風が感じられる「冥途」か、「サラサーテの盤」ではないだろうか。
この作品は、完全な随筆(エッセイ)で、人と会うのが面倒な作者が玄関脇の柱に貼った「日没閉門」に関するあれやこれやの話である。
しかし、文章は洒脱な俳味が感じられて、とても上手い。
(今、こんなエッセイを書ける作家はいないだろう)
「徹夜の夜半の硝子戸に擦りついて来る飛んでもない大きな顔の猫や小人の凄い目をした泥坊」のくだり。
すごくイメージが膨らむ。
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