平井和正の最後の作品と思われる「幻魔大戦deepトルテック」には、その前奏として、「少女のセクソロジー」が収められている。
「幻魔大戦deep」で、東丈が結婚した雛崎みゆきの娘 雛崎みちるが主人公になっている。
ただし、ここで描かれている世界では、母の雛崎みゆきはすでに死んでいて、兄とも離れ離れになり、父方の意地悪な叔母と娘がいる家に引き取られている。もちろん、東丈も彼女の前に現れていない。
作家になることを夢見るみちるは、古い下着も買い替えできない過酷な貧困の生活から、持ち前の才気で抜け出していく。
話としては、それ以上のものはないが、セクソロジー(性科学)という題の通り、雛崎みちる(十三歳)は、級友の女の子とレズ的な性交渉を持つ。
ただし、みちるが積極的に性行為をするというより、級友を自分の絶対的な味方にしたいという思惑が働いているような雰囲気がある。
「少女のセクソロジーII」では、意地悪な叔母を追い出し、地歩を固めたみちるが、アフリカの呪術を研究し、その能力に目覚め、学校で少女たちに陵辱を繰り返す体育教師と対決する話だ。
この体育教師を操っていたのが、実は校長室に飾ってあったアフリカ土産の呪いのお面だったというところは、眉村卓の「深夜放送のハプニング」をふと思い出してしまった。
この「少女のセクソロジー」で書かれている雛崎みちるのポジティブで明るいキャラクターと呪術師としての能力、そして派手な戦闘シーンではなく、精神世界の戦いで決着がつくというところも、本編の「幻魔大戦deepトルテック」に濃く表れている。
0 件のコメント:
コメントを投稿