狼のレクイエム第三部 黄金の少女が読みたくなって、数十年ぶりに、その前作である 第二部 ブーステッドマンを読んでみた。
この作品は、やはり、極悪人の殺し屋 西城恵の魅力に負うところが大きい。
狼男 犬神明の血から取り出した血清を注射することで、西城恵は、超人的な身体能力と不死身性を手に入れるが、同時に、今までの彼にはない人間的な優しさと弱さも併せ持ってしまう。
そのせいで、彼は、最も大事にしていた予備の血清を、仕事のパートナーである沢恵子が死に瀕した時に、彼女を助けるために使ってしまうのだが、そのせいで、二人の力関係は逆転してしまう。
その西城が、狼人間とブーステッドマン(強化人間)との戦いに参入するため、沢恵子と、タフな殺し屋のインディアンと一緒に山越えをするシーンが好きだ。
西城は、狼人間の力を存分に発揮する沢恵子に弱みを見せまいと、血清の効果が切れる中、衰える体力を振り絞り、必死になって行軍についてゆく。
どんなに不利な状況にあろうと、決して弱音を吐かない克己心の強さが、極悪人の西城恵という人間の中から立ち現れる。
彼は、精神と肉体のどん底から、調息法という精神統一と活力復活のための体術を行うことにより、再び立ち上がることができる。
そうして、最強の殺し屋3人は、不気味な不死身性を身につけたブーステッドマンと死闘を繰り広げる。
容赦のない暴力に満ちた世界の中にあって、殺し屋という自らの能力を最大限に発揮する西城恵の姿は、この物語の中で圧倒的に輝いている。
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