人間には、速い思考と遅い思考がある。
本書では、それをシステム1とシステム2と呼んでいる。
システム1の特徴は、自動的に高速で働き、印象や感覚を生み出す。努力は不要で、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
システム2は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム1の自由奔放な衝動や連想を制御したり、退けたりする。ただし、スピードが遅く、怠け者である。
システム1が自動的に行うことの例としては、
・2つの物体のどちらが遠くにあるかを見取る。
・突然聞こえた大きな音の方角を感知する。
・声を聞いて敵意を感じる。
・2+2の答えを言う。
・簡単な文章を理解する。
一方、システム2は、注意力を要するような行為、例えば、
・人が大勢いるうるさい部屋の中で、特定の人物の声に耳を澄ます。
・歩く速度をいつもより速いスピードに保つ。
・ある社交的な場で自分のふるまいが適切かどうか、自分で自分を監視する。
・17×24の答えを計算する。
・複雑な論旨の妥当性を確認する。
などで働く。
このシステム1とシステム2を。自分の生活に照らしてみると、仕事の現場などで意思決定をした際、ほとんどがシステム1に基づいているような気がして怖いと思った。それは、やはり、無意識のうちに、知力を消耗するシステム2を働かせるのを面倒がっている自分がいるのだろう。
この2つの思考システムの存在を意識させてくれるだけで、本書を読む価値があると思う。
少しだけ、自分が注意深くなれたような気がする。
0 件のコメント:
コメントを投稿