幻魔大戦 第五集(平井和正ライブラリー)は、角川文庫版でいうと、13巻から15巻までを収録している。
この辺りからは、今回読み直して、こんなストーリーだったんだという思いが過ぎった。
それほど、この辺りからの物語の記憶がないのは、やはり、十代のころに読むには、かなり鬱陶しい内容が含まれていたからだろうと思った。
幻魔に虜にされた久保陽子と高鳥とのセックスの場面。
丈に対して不信感を抱いてしまった杉村由紀に対する高鳥と久保陽子による超能力による性的な攻撃。妙に人当たりがよい郁江にも化けることができる幻魔の存在など。
物語の場面も、箱根セミナー(GENKENの合宿)とか、弟子たちとランニングをするトレパン姿の東丈とか、そこで起こる不思議体験とか、反省修行とか、にわかに新興宗教っぽい風景が多く現れる。
(こうして書き出すと変に面白いような気もするが)
しかし、最も気落ちしてしまうのは、この箱根セミナーの宿泊所に、ソニーとルナ(但し霊体)が現れるのだが、彼らが何を目的に現れたのか、東丈と何を話したのかが一切語られないところだ。
(数日後に杉村由紀は東丈の代理人として、ルナの支援者でもある石油富豪のメイン社長とも会う予定でもあるのだが、その関係も何も説明されていない)
そして、東丈はセミナーの宿泊施設から突然失踪する。トレパン姿のまま(笑)。
ニューヨークに行き、ルナの活動に合流でもすれば、話も面白くなると勝手に思うのだが、以後、東丈の足どりは全く分からなくなる。
そして、東丈の代わりに、井沢郁江がGENKENの代表を実質的に務めることになりそうな雰囲気で物語が終わる。
不思議な話だが、小説を読んでいるとあまり面白くない感覚が強いのだが、こうして、ストーリーだけ抜き出すと、とても面白い小説に思えてくる。
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