2012年2月23日木曜日

NRCの情報公開

米原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission、略称:NRC)が2月21日、福島の原発事故発生から5日後の時点で、原発から50マイル(約80キロメートル)圏から退避するよう、避難勧告すべきであるといった意見や、メルトダウン(炉心溶融)の可能性を指摘しているやりとり等が記録された全体で3000ページを超える議事録を公開した。

http://www.nrc.gov/about-nrc/organization/commission/comm-gregory-jaczko/0317nrc-transcript-jaczko.pdf

http://www.nrc.gov/japan/japan-meeting-briefing.html

NHKのニュースによると、議事録だけでなく、電話でのやり取りなども録音したデータも公開しているらしい。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120222/t10013199921000.html

自主的な公開ではなく、米メディアなどが情報公開法に基づいて公開を請求していたことがきっかけだったようだが、NHKが日本政府に情報公開法に基づき請求したら、議事録を全く作っていなかったことが判明したことと比べると、ひどく対照的な結果である。

米側も、すべて公開している訳ではなく、一部は黒塗りしているようだ(例えば、北沢防衛大臣との会話の記録などは消したらしい)。

やはり、こうして、当時の記録を検証できるというのは、有用だと言わざるを得ない。

特に、米側が常に最悪の結果が起きることを想定して事故の影響を予測・分析している点や、日本からの情報公開の少なさに苛立つだけでなく、独自に情報収集に努めている点は、リスク管理という観点で大いに学ぶべき点があると思う。

情報を公開するということは、言わば、第三者の批評・検証にさらされるということだ。

おそらく、今回の事故で、仮に日本側が議事録をきちんととっていたとしても、米側の対応と比較・検証されて、やはり、何らかの非難を浴びる結果にはなったと思う。

政府・原子力保安院・東電の当事者にとっては、身につまされ、冷や汗をかくような批評や報道がなされることになった可能性は高い。

しかし、それが情報公開というスタートラインであり、原発という非常にリスクが高い技術や物質を扱う国家機関のグローバルスタンダードではないだろうか(少なくとも事故がおきたら日本だけの問題ではすまなくなることは明白になったのだから)。
日本は今回、そのスタートラインにすら立てなかったのだ。

ストレステストの一次評価で原発を早々に再稼動させようとしている政府関係者は、今回の原発事故とその後の対応について、十分に検証したのか、問題はなかったのか、本当によく考えてほしい。

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