まさか、この作品を読むとは思っていなかったが、Amazon kindleと、平井和正の文章力のおかげなのかもしれない。
私は、かなりこの作品を読まずして、たぶん読めば幻滅すると強い偏見を抱いていたが、一読して面白いと思った。
旧作 狼のレクイエム の流れを受け継ぎ、きっちり物語としてつながっているし、何より旧作の登場人物のその後が興味深い。
CIA極東支局長 サミュエル・ハンターの娘で、色情狂だったエリノア・ハンターは本来の姿に目覚め、アリゾナ砂漠の近くの片田舎の町で、ジョッシュ・パーミターという病弱な東洋人の少年を世話している。
そのパーミターが犬神明なのだが、狼人間の力はまったく非力化していて、砂漠に力を吸い取られ、ゆっくりと死のうとしている。
東洋系の少女キム・アラーヤは、軟禁された山荘から脱走し、ゆく先々で出会う人々の支援を得ながら、アキラを探して、アメリカのどこかをさまよっている。
それを追跡する殺し屋アルとサイキックのトラウトマン。
そして、中国の特殊工作機関 虎部隊の虎4はバイオ兵器BEEとして登場するが、かつての面影はなくロボットのような印象を受けるが、なぜか虎4の記憶がキム・アラーヤに残っている。
そして、あのタフで魅力的な殺し屋 西城恵の姿も怪しい人物のボディガードとして健在。
砂漠で岩に力を吸い取られるパーミターとそれを助ける謎のインディアン ポペイとのやり取り(水と鹿の干し肉を口に入れて力を取り戻すシーン)が少し独特な印象を受けた。
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