2018年12月3日月曜日

蛍・常夏/源氏物語 中 角田光代 訳/日本文学全集 5

「蛍」は、相変わらず、玉鬘にちょっかいを出す光君の振舞いが描かれている。
特に、光君の弟である兵部卿宮が玉鬘に恋文を送っているのを知り、玉鬘の女房を呼び出し、自分が考えた返事の内容を書かせて反応を楽しむというのは、常軌を逸している。

のぼせた兵部卿宮が玉鬘の部屋を訪れた際、容易にうちとけない玉鬘の部屋に捕りためていた蛍を放つ。蛍の怪しい光に照らされる姫の美しさで、さらに兵部卿宮を惑わそうという光君のたくらみ。

一方、内大臣(頭中将)は、夢占いで、最近、自分の子が誰かの養女になっているということはないかと占い師に問われる。

「常夏」は、その内大臣が、自分が産ませた娘を探すのだが、玉鬘ではなく、近江の君という姫を見つけ出す。

さっそく引き取るのだが、期待に反し、顔は自分に似てブサカワで若い女房と双六を打ち、早口で軽口を叩くという今風の女の子だった。

和歌を作らせても上の句と下の句がつながらないという歌を即座に作ってしまうという特技を持ち、弘徽殿女御に出した歌も失笑を買い、女御本人からではなく、下の女房から返事が来てしまう。そういった事情も知らず、女御からの返事と思い込み、素直に喜ぶところも見ようによっては可愛い。



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