タルコフスキーの「ノスタルジア」は何度も見ていて、ヴェルディのレクイエムや光や水の映像の美しさにいつも陶然とした気持ちになるのだが、今回観たときは、エウジェニア(Eugenia)を演じたイタリア人のドミツィアナ・ジョルダーノ(Domiziana Giordano)の魅力に引き込まれた。
タルコフスキーは、女優を美しく撮る人だったなと、あらためて思う。
「鏡」で、タルコフスキーの若い頃の母を演じたマルガリータ・テレホワ(Margarita Terekhova)もそうだが、おそらく、この女優の一番美しい時期を切り取ったのではないかと思わせるような”代替の利かない”美しさがフィルムに収められている。
「ノスタルジア」は1983年の映画で、ドミツィアナ・ジョルダーノは、1959年生まれなので、この時、二十四歳ぐらいだったのだろうが、作品の重みもあるせいか、三十代の女性のような雰囲気が漂う。
アンドレイに、「光の中で、君は美しい」と賛美され、はにかむ場面もいいが、新しい恋人のドミニコ(おそらく彼女にはふさわしくない)に、タバコを買ってくるわと伝えるときの表情がとても魅力的だ。
英語版のウィキペディアによると、彼女は女優もやるが、写真家でもあり、ビデオアーティストでもあり、詩人でもあるという。
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